富士山頂における一酸化炭素およびオゾンの夏季の長期測定

Longtime observation of carbon monoxide and ozone during summer at summit of Ft. Fuji

 

加藤俊吾 KATO, Shungo
首都大学東京 Tokyo Metropolitan University

研究の概要

富士山頂は自由対流圏に位置しており長距離越境汚染の影響を観測するのに適していると考えられるため、一酸化炭素(CO)計およびオゾン(O3)濃度の連続測定を行う。COは汚染大気が輸送されてきているかどうかを判断する良い指標となる。O3は、汚染大気が光化学反応を起こすことで生成され(光化学オキシダント)、高濃度のO3は人や植生に悪影を及ぼす。改善の見られない日本での光化学オキシダント注意報発令件数と汚染大気長距離輸送との関係などについて検討を行う。

(英文表記)
Carbon monoxide (CO) and Ozone (O3) monitor are set up at the summit of Mt. Fuji and these concentrations are monitoring continuously. CO works as an indicator of atmospheric pollution. O3 works as an indicator of photochemical oxidation process of polluted air, and it makes actual bad influence to the atmosphere. SO2 will be also observed. These measurements have been conducted previous years, and comparison between different years, year to year variation can be performed.

 

研究目的

大気中COおよびO3の連続測定を行う。COは比較的大気中での寿命が長いため、汚染大気発生源の影響を受けているかの指標となる。そのため、汚染大気の長距離輸送をモニタリングするにはCOの連続測定は重要である。一方O3も同様に汚染大気輸送の指標となるが、汚染大気が光化学反応をおこすことにより生成するため、大気塊が経てきた履歴によって影響をうける。また、高濃度のO3そのものが植生などに悪影響を与えるため、日本(本州)のリモート地域であると考えられる富士山頂において、どの程度のO3濃度であるのかを把握しておくこと自体に意味がある。また、二酸化硫黄(SO2)の測定も行う。石炭燃焼などの人為起源発生源からの放出の影響をうけるが、二次粒子生成に関与する物質としての重要性もある。これまでも富士山頂において夏季のCO,O3濃度の連続測定をおこなってきたが、継続して観測を行うことで、年度ごとの違いや経年変化についての検討も行うことができるようになる。 

 

内外の関連研究の中での位置づけ
COおよびO3の測定は同時に観測を行っている粒子などの濃度変動を説明するときに参考になるため、大気集中観測には欠かせない測定物質である。また、富士山頂だけでなく、沖縄や北海道などの国内の清浄地域においてもCOとO3を連続測定しているため、日本における清浄地域でのバックグランド大気がどのような状況なのかを検討するのに重要である。また、国内外の他の山岳サイトとの比較も興味深い。 

 

期待される成果
COおよびO3濃度変動から富士山頂が現在どのような大気の影響を受けているのか知ることができ、大気汚染物質の長距離輸送の様子をとらえることができると考えられる。
また、CO,O3を同時に測定することにより、COが低濃度で清浄だがO3濃度が高くなる高高度大気の影響についても検討することができる。
これまで測定を行ってきた結果と比較することにより、年ごとの差や経年変化についての様子を知ることができる。 

 

社会への還元
連続測定を行った結果がすぐに得られるため、無線LANなどを利用して速やかに濃度の速報値を出すことができ、汚染大気の長距離輸送などについての状況についてwebサイトを通じて一般に情報発信をすることができると予想される。